支援アイデア 療育の具体例と対処法

決まった道順でしか歩けない子どもへのサポート方法

散歩中、子どもが「この道しか歩かない!」と決めつけてしまい、他の道を提案しても拒否することはありませんか?同じ道を歩くことで安心感を得ている一方で、親としては「どうして別の道がダメなの?」と戸惑い、困ることもあるでしょう。

この記事では、子どもが決まった道順にこだわる理由を理解し、そのこだわりに寄り添いながら柔軟な対応ができる方法を紹介します。日々の散歩が、親子にとってストレスではなく楽しい時間となるようサポートしていきましょう。


1. 子どもが決まった道順でしか歩けない原因とは?

子どもが同じ道順を好むのは、単なるわがままではなく、子どもの心理的・感覚的な特徴が影響しています。

  • 安心感を得るためのルーティン
    同じ道を歩くことで、子どもは「次に何が起こるか」を予測しやすくなり、安心感を覚えます。特に、不安やストレスを抱えているときは、このルーティンに固執することが多くなります。
  • 変化への抵抗感
    知らない道や新しい環境は、子どもにとって未知の世界です。不安や恐怖を感じやすく、慣れた道を選ぶことでその不安を避けようとします。
  • 自己コントロール感の表現
    小さな子どもでも「自分で選んでいる」という感覚はとても大切です。同じ道を選ぶことで、自分が状況をコントロールしている安心感を得ているのかもしれません。
  • 感覚的な魅力
    「あの道には大好きな花が咲いている」「あの道を通ると鳥の声が聞こえる」など、特定の道が五感に心地よさを与えている可能性もあります。

子どもの行動には、必ず何らかの理由があります。まずはその理由に目を向け、理解しようとする姿勢が大切です。


2. こだわりに寄り添いながら柔軟に変化を促す対処法

子どものこだわりを否定せず、少しずつ新しい選択肢を受け入れられるようにサポートしましょう。

子どもの気持ちを受け止める

まずは子どもの気持ちに共感し、安心感を与える言葉をかけることが大切です。

  • 例:「この道が好きなんだね」「ここを通ると安心するんだね」
  • ポイント: 子どもがこだわる理由を探るように、優しく質問してみましょう。「どうしてこの道が好きなの?」と聞くことで、隠れた理由がわかることもあります。

少しずつ新しいルートを試す

新しい道を無理に歩かせるのではなく、小さな変更から始めてみましょう。

  • 部分的に変える:「今日はこの角だけ曲がってみようか」「ちょっとだけ違う道を歩いてみようね」と少しずつ変化を加えます。
  • 興味を引く:「あっちの道にきれいな花が咲いているよ」「今日はあそこに猫さんがいるかも!」と、子どもが興味を持つ話題を出すと、受け入れやすくなります。

道順を一緒に決める工夫

子ども自身が選択できるようにすることで、安心感を持ちながら変化を促します。

  • 選択肢を用意する:「今日は右と左、どっちの道にする?」
  • 地図を一緒に作る: 簡単な地図を描き、どの道を歩くか子どもと一緒に計画することで楽しみが生まれます。

別の道を「楽しい経験」に変える

新しい道を歩くことがポジティブな経験になるように工夫しましょう。

  • ご褒美を用意する:「新しい道を歩いたら、公園でアイスを食べよう!」
  • ゲーム感覚で誘導する:「新しい道で宝物を探しに行こう!」と遊びながら歩くことで、変化への抵抗が減ります。

3. 繰り返し行動を予防するための工夫

日常生活に変化を取り入れる

子どもが変化に慣れるためには、日常の中に少しずつ変化を加えることが効果的です。

  • 道順を毎回少し変える: 少しだけ違う角を曲がってみる、いつもと違う時間帯に散歩をするなど、柔軟性を育てましょう。

感覚的な刺激を満たす

特定の道への固執が感覚的な理由なら、他の活動で刺激を満たしてあげるのが良い方法です。

  • 感覚遊びを増やす: 砂遊びや水遊び、スライム遊びなど、五感を満たす遊びを取り入れる。
  • 自然と触れ合う: 公園や山、自然の中で過ごすことで感覚的な欲求を満たせます。

安定したスケジュールの作成

毎日の生活リズムが安定していると、安心感が生まれ、こだわり行動が減少することがあります。

  • 予定を見える化する: イラストや写真を使った視覚的なスケジュールで日々の流れを示しましょう。

まとめ

決まった道順でしか歩けない行動には、子どもが安心感や自己コントロール感を求めている背景があります。この行動を否定せず、少しずつ新しい体験を取り入れることで、変化を受け入れる力を育てることができます。また、感覚的な欲求を満たしつつ、日常生活に変化を取り入れることで、繰り返し行動の予防にもつながります。親子で楽しい散歩の時間を作りながら、子どもの成長を支えていきましょう。

編集・監修者

合同会社Calux代表。社会福祉学修士、社会福祉士の資格を持ち、人間環境大学松山看護学部の研究員。児童発達支援・放課後等デイサービス「Camino」の管理者兼児童指導員として、障害を持つ子どもたちの未来を支援。システムエンジニアの経験を活かし、療育プログラムの開発やテクノロジーを活用した支援方法を実践。プログラミング教育や課題解決能力の育成に注力し、講演や執筆活動も展開している。

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