子どもがブロックや車のおもちゃを並べ続ける場面。例えば、赤いブロックは左、青いブロックは右という特定の順番を守って並べ続け、何度もその配置をやり直します。親が「他の遊びをしてみない?」と声をかけても、「まだ!」と答え、全く興味を示さないことがあります。さらに、親が片付けようとすると「触らないで!」と怒り出し、癇癪を起こすこともあります。
1. 子どもが同じ行動を繰り返す原因を理解する
特定の行動を繰り返す背景には、子どもの心理的な要因や発達の特徴があります。この行動の背景を理解することが、適切な対応の第一歩です。
主な原因
- 安心感を得るためのルーティン
同じおもちゃを並べる行為は、子どもにとって予測可能で安心できる活動です。不安やストレスが強いときに、この行動を繰り返すことで自分を落ち着けています。 - 繰り返し行動の達成感
おもちゃを決まった順番に並べること自体が、子どもにとって達成感を与える行動であり、その感覚を繰り返し楽しんでいます。 - 感覚的な満足感
おもちゃの形や色、並べる音や動きが、子どもにとって特別な刺激となり、その行動を繰り返したくなります。
2. 繰り返し行動への具体的な対処法
a. 子どもの気持ちに寄り添う
同じ行動を繰り返す子どもには、まずその気持ちを受け止めてあげることが重要です。
- 共感する言葉をかける
「並べるの楽しいね」「赤いブロックと青いブロックをきれいに並べているんだね」と行動を認めることで、子どもが安心します。 - 気持ちを言葉にする
「並べていると落ち着くんだね」と言葉で感情を代弁してあげることで、子ども自身も行動の意味を理解しやすくなります。
b. 繰り返し行動を肯定しつつ範囲を限定する
繰り返し行動自体は否定せず、親子でルールを作りながら範囲を限定します。
- 時間を区切る
「あと5分だけ並べて、その後はお片付けしようね」と具体的な時間を提示します。 - スペースを決める
「このテーブルの上だけで並べようね」と行動範囲を限定することで、行動の自由度を保ちながら管理できます。
c. 違う遊びに切り替える工夫をする
行動を無理に止めるのではなく、別の興味を引き出す工夫が大切です。
- 似た特徴を持つ遊びを提案する
「次はブロックでタワーを作ってみよう!」と、並べる行動の延長で新しい遊びを提案します。 - 遊びを進化させる
「並べたおもちゃを使って道を作ろう!」と、新しいルールを作って遊びの幅を広げます。
d. 親自身の対応を整える
親が冷静に対応することで、子どもの行動への影響を最小限にします。
- 感情的にならない
子どもの行動にイライラせず、冷静に対応することが重要です。 - 一貫性を保つ
毎回同じルールで対応することで、子どもが予測しやすくなります。
3. 繰り返し行動を予防するための工夫
a. 日常生活の安定を図る
繰り返し行動が不安感から来る場合は、日常生活を安定させることで改善が期待できます。
- 決まったスケジュールを作る
起床や食事、遊びの時間を一定にすることで、子どもの安心感を高めます。 - リラックスできる時間を設ける
お昼寝や読書など、静かに過ごせる時間を意識的に取り入れます。
b. 子どもの感覚を満たす遊びを取り入れる
子どもが感覚的な満足を求めている場合、それを満たす遊びを用意します。
- 感覚統合を意識した遊び
スライムやキネティックサンドを使った遊びで、手触りや動きに刺激を与えます。 - 多様な素材のおもちゃを用意する
木製や布製のおもちゃなど、異なる感触を楽しめるおもちゃを取り入れます。
c. 親子で新しい遊びを模索する
繰り返し行動に代わる新しい遊びを見つけることで、子どもの興味を広げます。
- 親子で一緒にチャレンジする遊び
パズルや簡単なボードゲームなど、新しいルールを取り入れた遊びを試します。 - 成功体験を増やす
「これもできたね!」と褒めることで、自信を持たせ、新しい遊びへの意欲を引き出します。
まとめ
同じおもちゃを並べ続ける行動には、子どもが安心感や達成感を求めている背景があります。この行動を否定せず、適切に範囲を限定したり、次の遊びへの切り替えを工夫することで、スムーズな対応が可能になります。また、日常生活を安定させることで、繰り返し行動が減ることもあります。親子で楽しく新しい遊びを模索しながら、子どもの成長をサポートしましょう。