公園で楽しく遊んでいた子どもに「そろそろ帰ろうか」と声をかけると、子どもが「もっと遊びたい!」と訴え始めます。親が「もう時間だから帰るよ」と手を引こうとすると、子どもはその場に座り込み「いやだ!」と泣き叫びながら足をバタバタさせて抵抗します。周りの親子が注目する中、親は困惑し「どうしてこんなに帰りたがらないのだろう」「どうすれば落ち着かせられるのか」と悩みます。
このような「切り替え」が苦手な場面は、幼児期の子どもに特によく見られる癇癪の一例です。適切な対応を知ることで、子どもの感情を受け止めながらスムーズに次の行動に移ることができます。以下に、具体例と対処法を詳しく解説します。
1. 癇癪を引き起こす原因を理解する
子どもが公園から帰りたがらないのは、単なるわがままではなく、成長段階において自然な行動とも言えます。その背景を理解することが、対応の第一歩です。
主な原因
- 楽しい時間を中断される不満: 子どもにとって公園での遊びは非常に楽しい体験です。それが突然中断されると、不満や悲しさが癇癪となって現れます。
- 切り替えの難しさ: 幼い子どもは、一つの活動から次の活動に気持ちを切り替えるのが苦手です。
- 予想外の出来事へのストレス: 子どもにとって、予告なしに「帰るよ」と言われることは、自分のペースを乱されるストレスになります。
2. 癇癪への具体的な対処法
a. 冷静な態度を保つ
子どもが感情を爆発させると、親も焦りや怒りを感じることがありますが、親が冷静でいることが重要です。
- 深呼吸して気持ちを整える: 子どもの大きな声や抵抗に動揺しそうになったら、一度深呼吸をして冷静さを保ちましょう。
- 穏やかな声で話す: 子どもが泣き叫ぶ中でも、「大丈夫だよ」と落ち着いた声で話すことで、子どもが安心感を得られます。
b. 事前予告を活用する
子どもに切り替えの準備をさせることで、癇癪を未然に防ぐことができます。
- 時間を伝える: 「あと5分遊んだら帰るよ」と具体的な時間を示し、子どもに心の準備をさせます。
- タイマーを使う: 目で見て時間がわかるタイマーや砂時計を使うと、子どもが納得しやすくなります。
c. 感情を受け止める
子どもが「帰りたくない!」と泣いているとき、その気持ちを受け止めてあげることが大切です。
- 共感の言葉を使う: 「もっと遊びたかったんだね」「楽しかったよね」と子どもの気持ちに寄り添った言葉をかけます。
- 否定しない: 「泣かないで」「わがままだよ」と否定すると、子どもはさらに感情的になる可能性があります。
d. 気持ちを切り替える提案をする
子どもが気持ちを切り替えやすいよう、次の楽しみを提案することが効果的です。
- 次の楽しみを示す: 「お家に帰ったらジュースを飲もうね」「帰ったら好きな絵本を読もう」といった提案をします。
- 具体的な行動を促す: 「滑り台をあと1回滑ったら帰ろうね」と具体的な行動を提案すると、子どもが納得しやすくなります。
e. スモールステップで誘導する
子どもが抵抗を続ける場合は、一気に帰ろうとせず、小さなステップで帰る準備をさせます。
- 靴を履くことから始める: 「まず靴を履こうか」と、一つずつステップを区切ることで、子どもが気持ちを切り替えやすくなります。
- 親が手伝う: 子どもが動きたがらない場合は、親が優しく手を取って一緒に歩き出すことで、スムーズに切り替えられることがあります。
3. 癇癪を予防するための工夫
a. 日常的に切り替えの練習をする
日常生活の中で小さな切り替えの練習を取り入れると、公園での癇癪を予防しやすくなります。
- 遊びから食事への切り替え: 「遊びが終わったらご飯を食べる」という流れを普段から練習しておくと、似た状況での切り替えがスムーズになります。
- タイマーを活用する: 遊びの終了を予告するために、家でもタイマーや時計を使う習慣をつけると良いでしょう。
b. 子どもとの事前約束を活用する
外出前に約束をしておくことで、子どもの期待値を調整できます。
- ルールを伝える: 「今日は公園で30分遊んだら帰ろうね」と具体的なルールを事前に伝えます。
- 約束を守ったら褒める: ルール通りに帰ることができた場合、「約束守れたね、すごいね!」と褒めることで、次回も同じ行動を取りやすくなります。
まとめ
公園で遊ぶことを楽しんでいる子どもにとって、「帰る」という切り替えは難しいことです。そのため、癇癪が起きやすい場面でもありますが、親が冷静に対応し、子どもの感情を受け止めながら次の行動を促す工夫をすることで、穏やかに状況を収めることができます。また、日常生活で切り替えの練習を取り入れたり、事前の予告や約束を活用することで、癇癪を予防することが可能です。親子で少しずつ成長しながら、楽しい時間を共有できる環境を整えていきましょう。