家に親戚や友人が遊びに来たとき、子どものお気に入りのおもちゃを親戚の子どもが手に取りました。それを見た子どもが「それ、僕の!」と怒り始め、泣き叫びます。親が「一緒に遊ぼうね」と仲裁しようとしても、「嫌だ!」とさらに激しく癇癪を起こします。場合によってはおもちゃを奪い返したり、親戚や友人に手を出すことも。親としては「どうすれば仲良く遊ばせられるのか」と悩みます。
このような場面は、子どもの発達段階でよく見られるトラブルの一つです。子どもが自分のものを守りたいという気持ちと、他者との共有の難しさが癇癪に繋がります。以下では、この具体例に基づいて対処法を詳しく解説します。
1. 癇癪を引き起こす原因を理解する
子どもが親戚や友人に自分の物を取られたと思い込み、癇癪を起こす背景には、いくつかの心理的な理由があります。これらを理解することで、適切な対応がしやすくなります。
主な原因
- 所有欲の強さ: 子どもは、自分のおもちゃや物に対して強い所有欲を持っています。他人に触られること自体を「取られた」と感じてしまう場合があります。
- 共有の概念が未発達: 幼い子どもにとって、「貸す」「一緒に使う」といった共有の考え方を理解するのは難しいことがあります。
- 不安や警戒心: 家に来た親戚や友人が普段いない相手だと、子どもが不安を感じやすくなり、自分の物を守ろうとする行動が強まることがあります。
2. 癇癪への具体的な対処法
a. 子どもの気持ちを受け止める
まずは、子どもの「取られた」という気持ちを否定せずに受け止めることが重要です。
- 共感する: 「それが取られて嫌だったんだね」「大切なおもちゃなんだよね」と気持ちを言葉で代弁します。
- 感情を否定しない: 「そんなことで泣かないで」と否定すると、子どもがさらに感情的になる可能性があるため、まずはその感情を認めます。
b. 仲裁をする
癇癪を起こしている子どもと親戚や友人の間に入って、双方が納得できる形で状況を収めます。
- 順番を決める: 「5分ずつ交代で遊ぼうね」と具体的なルールを作り、トラブルを解決します。
- 他のおもちゃを提案する: 「こっちのおもちゃも楽しいよ」と代替案を示すことで、子どもの気持ちを切り替える手助けをします。
c. 安心感を与える
癇癪を起こした子どもが安心できるような声かけや行動を取りましょう。
- 一緒に遊ぶ: 親が子どもと一緒に遊び、遊びの楽しさを共有することで気持ちを落ち着けます。
- 大切な物を一時的に保管する: 子どもがどうしても譲れないお気に入りの物については、「これは今日は使わないでおこう」と一時的にしまうことで安心感を与えることもできます。
d. 他者との共有を促す
子どもに「共有の楽しさ」を伝えることで、癇癪が収まりやすくなります。
- 共有の価値を伝える: 「貸してあげたら、お友だちも喜ぶよ」と共有することで生まれるポジティブな結果を伝えます。
- 見本を見せる: 親が子どもと何かを共有する場面を見せることで、共有の概念を自然に学べるようにします。
3. 癇癪を予防するための工夫
a. 事前に準備をする
親戚や友人が家に来る前に、子どもが安心して過ごせる準備をしておくと癇癪を予防できます。
- 貸しても良い物を選ばせる: 子どもに「これは貸してもいい?」「これはしまっておこうか」と相談しながら、おもちゃをあらかじめ選んでおきます。
- ルールを決める: 「順番に使おうね」と簡単なルールを事前に伝えることで、子どもが安心できます。
b. 共有の練習をする
日常生活の中で共有を練習させることで、トラブルが起こりにくくなります。
- 家庭内で共有の練習をする: 家族間でおもちゃや物を貸し借りする習慣をつけ、共有の大切さを教えます。
- 一緒に遊ぶ経験を増やす: 公園や児童館で他の子どもと一緒に遊ぶ機会を作り、自然に共有を学ぶ環境を提供します。
c. 子どもとのコミュニケーションを深める
子どもが自分の気持ちを親に伝えられるよう、日常的なコミュニケーションを大切にしましょう。
- 気持ちを言葉にする練習: 「どんな気持ちだった?」と尋ね、言葉で感情を伝える練習をさせます。
- ポジティブな行動を褒める: 「貸してあげられて偉かったね」と具体的に褒めることで、共有する行動を促します。
まとめ
家に来た親戚や友人とのトラブルで癇癪を起こす子どもへの対応は、親にとって悩ましいものですが、冷静に感情を受け止め、共有の楽しさを伝えることで少しずつ解決に向かうことができます。また、事前準備や日常生活での練習を通じて、子どもが共有を自然に学べる環境を作ることで、癇癪の頻度を減らすことができます。親子で一歩ずつ取り組むことで、他者との関わり方を身につけ、楽しい時間を過ごせるようサポートしていきましょう。